ストーリー

マネギと海苔。島の山と海を代表するそれらの特産物に興味を持った恵子は、畑や養殖場に通うようになり、島中で有名な豊島兄弟の確執についても知るようになる。人々の噂によると、岳志が東京に行った後、渉が父親と一緒にタマネギを作っていたが、ある時、渉が家を飛び出して海苔の養殖業に転身。そのことを父の葬儀の席で知った渉をなじり、それ以来二人は口も聞かないのだという。また、兄弟の母親の志津子(根岸季衣)は、渉が戻ってくることを望んでいたが、渉は桜井の娘、麻衣(谷村美月)と結婚して海苔養殖業を継ぐつもりでいた。

んなある日、恵子はかつて島で行われていた伝統作業「かいぼり」の存在を知る。かいぼりとは、農家が灌漑用のため池の水を抜き、堆積した草木や土砂を取り除く作業のことで、山の栄養が海に流れ、やがて豊かな海のミネラルが畑に還ることから、畑と海の両方にメリットがある。しかし、15年前に泥や流木が海苔の網を傷つける事態が起きてから、島のかいぼりは途絶えていた。恵子は痩せてきた海を元の状態に戻すために、今こそかいぼりを復活させるべきだと直感する。実現するには市の主導のもと、農家と漁師が力を合わせなければならない。渉や岳志はもちろん、農水産部の尾形部長(山口いづみ)らにもかいぼりの必要性を説いてまわる恵子。その熱意に、はじめは反対していた人々も私情や立場を超えて協力するようになる。

島中あげてのかいぼり準備が始まった。そんな中、岳志たちが独占契約を結んでいた食品会社が倒産したとのニュースが飛び込んでくる。販路を失ったばかりか、会社設立のための融資の話も危うくなった岳志は廃業を決意。畑を更地にし、島を出ていこうとするが──。

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