解説

忘れていた、大切なものがありました。
さわやかな風が吹き抜ける島で彼女が出会ったのは、自然とともに暮らしながら〈食〉を育む兄弟。山と海、家族、旅人とそこに住む人々。厳しくもやさしい関係の中で、誰もが少しずつ癒され再生していく——。

野恵子、31歳。仕事はできるが、少々頭でっかちなアメリカ帰りの農林水産省官僚。日本の第一次産業の現状を調べるために淡路島にやって来た恵子は、タマネギ農家の豊島岳志と、海苔の養殖を行う豊島渉の兄弟に出会う。家業を継ぎながら新しい農業ビジネスモデルを模索する頑固な兄と、家を出て漁協組合長に弟子入りした一途な弟。対照的な二人は父の死をきっかけに仲違いしており、それぞれ人手不足、環境の変化などの問題と向き合いながら自分の道を切り開こうとしていた。  二人の姿に胸を打たれた恵子は兄弟を和解させるため、そして島の農水産業を盛り上げるため一大プロジェクトを立ち上げる。それは山の栄養を含んだ溜め池の泥を海に流すことで豊かな水質を取り戻す伝統手法“かいぼり”の復活。兄弟とともに土や水に触れ、作物の成長を見守り食べるうちに恵子の心も癒されていく──。

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